社長ブログ

建築のあれこれ「建て主を無視した家」2021.06.04

ひとりの女性が、ある大手ハウスメーカーに、新築を依頼

しました。その女性は身長が140㎝と小柄なため、

「小柄な私が使いやすい住宅を造って欲しい」と、要望を

出したにもかかわらず、そのハウスメーカーは標準通りの

家を建てました。

その結果、洗面所の鏡が見られない、収納に手が届かない、

キッチンが高過ぎて使いにくい・・・等々の不具合が生じ、

29ヶ所の瑕疵があるとして損害賠償の裁判を起しました。

裁判では女性の主張がほぼ認められ、ハウスメーカー側は

床を上げるなどの手直しをした上で、損害賠償にも応じま

した。

おそらく、実際の契約書には女性の身長まで配慮した風は

なく、ハウスメーカーとしては契約書通り、つまり理論的

には責任を問われる状況ではなかったものと推測されます。

ハウスメーカーに非があることは誰が見ても明らかであり、

どんな理由があっても、建て主本位でなくてはならない家

づくりのあり方を裁判所が端的に示した好例といえます。

現在は、契約内容にかかわらず消費側が保護される環境が

整ってきましたが、それでも契約書はよく読み込み、もし

自分で契約書の内容を理解するのが難しい場合は、親戚や

友人に確認してもらう等、建て主自身が「当事者意識」を

しっかり持って、自分自身を守る姿勢が大切です。