社長ブログ

建築のあれこれ・・・「高齢者向け住宅」2016.08.24

高齢者にも使いやすい住宅を考えることは今現在、高齢者と

同居している方だけに限ったお話しではありません。

自分が歳をとった時に備えて20年、30年といった長い目で

住宅を計画しておくことはとても大事なことです。

また、高齢者向け住宅というと手すりや昇降機などの設備で

対処する方法がすぐに思い浮かびますが、それだけではなく

プランニングそのものを工夫することで、高齢者にとって

「やさしい」住宅を計画することも可能です。

◆基本的な留意点

1)日常的な動作の妨げとなるものを排除する。

開けにくい「重い扉」、部屋間のスムーズな移動を妨げる

「段差」や「狭い廊下」が生じないように計画することが

重要です。

また、日常生活の移動が楽に行えるように、高齢者の寝室、

トイレ、浴室等はできるだけ近くにすることがポイントです。

2)事故を引き起こす可能性のあるものを排除する。

転倒の可能性がある「床の段差」や「滑りやすい床材」、

ヒートショックを招く恐れがある「部屋間の温度差」、

また誤操作の危険性がある「複雑な設備機器」などは極力

使用しないようにしましょう。

3)補助設備を設置するか、将来設置できるように備える。

階段、トイレ、浴室などの「手すり」、「エレベーター」

などの移動を助ける設備を設置しておくか、将来設置できる

ように想定しておくことが重要です。

将来設置できるようにしておくには、当初からスペースを

確保し、下地を補強しておくことが必要です。

◆部屋別のポイント

・洗面所

洗面台は椅子に座っても使用できる高さにしておきましょう。

収納スペースは、常に手の届く範囲で計画をしておくことが

大事です。

・浴室

浴室の扉は、アクリルガラスなどの割れにくい素材を選びま

しょう。跨ぎやすい高さの浴槽を選んだり、腰掛を設置する

など、洗い場と浴槽との移動に配慮が必要です。

・台所

特に安全面への配慮が重要です。

電磁調理器具は、火を使わないので比較的安全と言われて

いますが、使い慣れていない方にとってはかえって不便な

部分もあるようです。

部屋の用途に関らず、

1)介護を想定した広めのスペースを確保しておく。

2)引戸等は開閉が楽な建具を選ぶ。

3)水に濡れても滑りにくい床材を選ぶ。

4)水栓金具やドアハンドルは、レバー式等の操作性が

高いもの選ぶ。

5)照明や設備機器のスイッチは、大型のものを選ぶ。

6)緊急時に備えてブザーを設置する。

などは、最低限考慮しておきましょう。

これらを充実するには、コストの問題を避けて通ることが

できません。設備の貸与や高齢者対応の住宅改造に助成金

制度を設けている行政もありますので、積極的に利用しま

しょう。さらに機能面だけでなくプライバシー、家族間の

コミュニケーションなど高齢者の心理面にも十分考慮して

計画を立てることが重要です。